米国医学研究所(IOM)(※1)は2015年2月に慢性疲労症候群について以下の見直しを提案しました。

診断基準の見直し
病名の変更
本疾患の診断
全国の医療機関に広めるための施策の展開


疾患の背景
深刻で衰弱をもたらす疾患で、米国では83.6万人~250万人が罹患。
84~91%は診断がついておらず、正確な罹患率は不明。
平均発症年齢は33歳であるが、10歳未満や70歳以上も患者も報告されている。
少なくとも患者の1/4は寝たきりか外出できない状態。
年間170億~240億の経済損失。
IOM提案の診断基準
次の3つの症状を満たす事
1発症前の職業や学業、社会的、個人的な活動レベルと比べて、著しく機能低下したり機能障害があり、それが6カ月以上続き、疲労感を伴っている。その程度はしばしば深刻で、新しく表れた、あるいは明らかに発症という状態であり、今過度の労作を行ったからではなく、また休息しても症状がおさまらない。
2労作後倦怠感*
3睡眠をとっても回復しない
さらに次の2つの症状のうち、少なくとも1つを満たす事
4認知機能の障害
5起立不耐性
*症状の頻度や酷さを評価する。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(全身労作不耐症)では、これらの症状が、少なくとも半分以上の時間に中等度、高度、重度の酷さであることを確認する。
病名の変更

●疾患の呼称を慢性疲労症候群から全身労作不耐疾患SEID(systemic exertion intolerance disease)に変更するべきである。
●慢性疲労症候群という呼称は偏見を生んだり、疾患の過小評価につながるため、疾患の呼称として使うべきではない。

臨床医にもとめること

●重篤な全身疾患であることを理解する。
●中心となる症状を理解し診断する。
●患者へのケアを改善する
●診断する
●症状に対する治療を行う
●有害な治療薬の処方を避ける

その他提案

●内科医は病歴、診察、精密検査を行い、本疾患の診断基準を満たす場合は診断を行うことが望ましい。
●ICD-10に慢性疲労や神経衰弱とは関係ない、独立した病名コードを付与することが望ましい。

●米国保健福祉省(HHS)がスクリーニングや診断に適したツールキットを開発し、患者が受診する様々な医療機関(プライマリケア、救急、精神/行動療法のクリニック、理学/作業療法の機関、医学的専門機関)で使用することが望ましい。


(※1)米国医学研究所(Institute of Medicine: IOM):研究会開催や報告書発行等を通じ、健康や医療に関して議会や政府に助言する独立非営利の学術機関。


【参考】
●(IOMの原文)http://nationalacademies.org/hmd/reports/2015/me-cfs.aspx
●(慢性疲労症候群医療講演会東京における倉恒弘彦先生の講演)米国より提唱されたSEIDの概念について